恋愛相談の楽しみ

Goyas Ghosts人は、恋愛すると映画批評家に似てくる。
これ、たぶん本当です。
映画批評家もまた、常にどこかで、恋愛しているか、恋愛相手を探し続けているようなものですから。
だからこそ、わたしなんかが恋愛相談相手として重宝されることもあるんだと思いますね。

問題は、ディテールへのまなざしと、さまざまな関係性への配慮と、それらをいかなる言説・態度・余白・バランス・他者への振る舞いとして落とし込んでいくかということ。
そこには、いかなる公式も正解もあらかじめ存在していないからこそ、人は手探りで前に進まざるを得ないわけですし、カウンセリングというその度ごとに新たな一つの対話=創造活動に参加しようとするわけですよ。

ところで、映画は好きだけど、映画批評なんて世の中に必要だとは全く思わない、と口にする人をしばしば見かけますけど、わたしにはこれが全く理解できません。

人は、恋愛したら、人と話したくなるじゃないですか。
人に相談したくなるじゃないですか。
人の言葉を聞きたくなるじゃないですか。
それと同じですよ。

そして、恋愛相談というのは、恋愛に端を発するものであることは間違いないものの、と同時に、恋愛同様、それ自体一つの独立した大きな楽しみであり刺激でもあり人生の学習でもあるわけです。
映画批評もまた、同じこと。
恋愛の分かる人であれば、これ、きっと理解してもらえると思うんだけどな。

世の中には、恋愛相談とか映画批評とかを必要としている人たちもいる。
それで良いじゃん。

確かに、自分とは異なった人間が世の中に存在しているというのは、しばしばイライラさせられることではありますし、遠くから嫌っているのが一番簡単でストレスのないアティテュードであろうとも理解できるのですけど、でも、たとえば映画の世界って、すごく狭いよ?
そんな狭い世界の中に無理矢理壁を作って、それでようやく保たれるような(人の/場所の)アイデンティティーなんてものに、一体どれほどの価値があるんでしょうか?

あと、映画批評は不要であるとか、近頃の映画批評はつまらないとか、そういうのって、たぶん言わされてる言葉なんだと思いますね。
誰に言わされてるかというと、それは、言葉に言わされてる。
言葉に言わされてる言葉を口にする人って、たぶん、壁には興味あっても、恋愛には興味ないんじゃないだろうか?
恋愛って、あるいは映画批評もそうですけど、最低限、そういうものでは絶対にないわけですから!

だって、近頃の恋愛はつまらないなんて言う人います?
それ、単にその人の問題。
現役じゃないだけ。
今この瞬間にも、すっげえ恋愛とか、濃ゆ~い恋愛相談している人たちだっているかもしれないじゃないですか。
本当に刺激的な恋愛体験を求めている人であれば、迂闊にそんな言葉を口にしたりはしないものです。

恋愛相談は、したい人がすればいい。
映画批評もまた、それを必要とする人が読んだり書いたりすればいい。
それだけの話です。
その外側にいる人間が、高みに立った気分でコメントすべきものじゃないと思う。
わたしは、壁ではなく、恋愛の側、映画批評の側につねに立っていたいと考えています。

試写日記×2

ミロシュ・フォアマンの『宮廷画家ゴヤは見た』。
えっと。
市原悦子の「家政婦は見た」。
すいません、お約束です(笑)。
監督がミロシュ・フォアマンなので、いつものように、自信を持って「そこそこ面白い」と断言できる作品でした。
脚本にジャン=クロード・カリエールの名前があって、それでゴヤですし、「マドリード、1808年5月3日」も出てくるので、テーマ的に『自由の幻想』とつながっているのは間違いないでしょう。
ナタリー・ポートマン、最近脱ぎまくってるような気もしますが、クラシックな格好させると、さすがに圧倒的にきれいですね。

池田敏春の『秋深き』。
うーん。
わたし、大阪出身なので、であるからこそ逆に、こういう「あほやなあ、あんた」とつぶやいてそっと瞳の涙を拭う的な話って、生理的に全く受け付けないんです。

終映後、京橋付近まで猛暑の中をテクテク歩き、映芸編集部へ。
こちらに移転してからは、はじめての訪問。
とくに理由はなく、ただ、今出ている号の打ち合わせのため、一度編集部を訪れようとして、その時はあれこれ行き違いで果たせなかったため、今回、近くに来たついでにあらためて寄っておこうかと考えたわけです。

編集Fさんとあれこれ雑談。
つっちー、わたしはいつでも構わないから、気が向いたときにいつでも連絡してくれい。
…って、面識のない相手に呼びかける言葉じゃないですけど(笑)。
ごめんなさい。
フランクな人柄を装ってみました。
新宿は無理だけどね。

ともあれ、先日も書きましたけど、いま書店に並んでいる「映画芸術 424号」で、黒沢清監督のインタビュー記事を担当しています。
『トウキョウソナタ』について。
面白いと思います。
どうぞ、よろしくお願いします。
あと、風間さん、ありがとう!

編集部を出て、銀座天龍で夕食。
もちろん、鍋焼き餃子&ライスを注文しました。
エビス生ビールが半額キャンペーンとのことで、それも注文。
帰り道、キルフェボンに寄って、<夏季限定>桃とチーズのタルトを買ってきました。
もちろん、ハッピー・バースデー・トゥー・ミーです。
ディア、プレジデント。
今から食べます。

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