映画雑記100729

見た映画のこと書いておかないと、恐ろしいほど次から次へと忘れていくので、と言うのは、次から次へと忘れても心の痛まないような映画ばかり試写では見ることになるので、思い出す限り一言だけでも書いておくことにします。

『借り暮らしのアリエッティ』米林宏昌
良くできてるとは思いますが、わたしは基本的にアニメに興味がない。

『インセプション』クリストファー・ノーラン
次号のキネ旬に書きましたが、と言っても、別にこの映画をオススメするわけではありません。

『トイレット』荻上直子
こういうポストモダン風の映画って、昔よく見た。

『シングルマン』トム・フォード
評判良いらしいですが、なんで?

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』ニールス・アルデン・オプレヴ
連続ドラマのダイジェストにしか見えない。

『ガーメント・ジャングル』ヴィンセント・シャーマン、ロバート・アルドリッチ 1957
服飾業界を舞台に、悪質な労働条件から組合作ろうとする人々と脅し殺人何でもござれな労組ツブシ屋たちの闘いを描いた作品で、すっげえ面白い。
この時代に、よくこれだけの題材をこれだけ踏み込んで描けたものだ。
完成直前に解任されたためクレジットされていないのですが、これはもうアルドリッチ作品以外の何ものでもないです。
アルドリッチの作家的刻印を画面の隅々から感じることができる。
たたき上げの職人社長で、組合に理解なくて潰し屋雇っちゃうけど、後に彼らがやっていることを知って後悔する役どころにリー・J・コッブ。
こういう役演じさせると、彼は本当にうまい。
ああもう、新作映画なんて見なくて良いよとか、普通に思っちゃうよな。
闘ってる映画は素晴らしいです。

the_big_night『大いなる夜』ジョゼフ・ロージー 1951
まず、話が超面白い。
酒場の主人の息子で母親はどうやらいないみたいだけど、だからこそ親父から大事に大事に育てられて、クラスメイトから毎日いじめに遭ってるような男の子がいて、しかし、ある日、その親父が彼の目の前で衆人環視の中リンチのような目に遭う。しかし、親父は黙って耐えるだけで、抵抗しようとさえしない。相手に対する怒りと親父に対する失望とで心をかき乱された少年は、ピストルを手に夜の街へと出て行くが、そこで大人の社会の複雑さを目の当たりにし、たった一夜のうちに彼はそれまで全く知ることのなかった世の中のもう一つの側面と大人の心の機微を学んでいく、といったような物語。
「不思議な国のアリス」の逆パターンだけど、こっちやる人って今や殆ど存在しないってこともあり、何だかものすごく新鮮に感じました。
『タクシー・ドライバー』とか『アフター・アワーズ』とかでマーティン・スコセッシが真似したと思われる場面が満載。
鏡に向かってピストル構えて、例のアレ、やっちゃうんですよ!
言葉の真の意味でエモーショナルな作品です。
だって、わたし自身、これ見た夜には、明らかにこの映画から影響されたとおぼしき夢見ちゃいましたもん(笑)。
キツイです。
とりわけ、男の子は心かきむしられると思います。
痛い痛い。
主人公の少年演じているのが、ジョン・ドリュー・バリモアで、名前から分かると思いますけど、ドリュー・バリモアのお父さん。
と言うよりも、あの偉大なジョン・バリモの息子で、彼自身、実生活でも父親との関係に深く悩まされていました。
なにせ、父親の映画ばかり繰り返し見るのが趣味だったそうですから、偉大な父を持つのも善し悪しなんだろうな、と。
最後は、カリフォルニアの砂漠にたった一人で世捨て人の生活をしていたらしい。
あと、『真実の瞬間』に出演したスコセッシが、赤狩りから逃れ、スーツケース一つでヨーロッパへと亡命していくロージー(らしき人物)を演じていましたけど、そのモデルとなったのが、まさにこの映画を撮影していた最中の出来事でした。
いやもう、正直、新作映画見る必要ないんじゃないかとか、真剣に思っちゃうよな。

the_sleeping_tiger『眠れる虎』ジョゼフ・ロージー 1954
いやー興奮した!
すっごい面白い!
面白い映画って、見てる最中に何度か大声上げて、これメチャクチャ面白いよね!とか、誰かに向けてアピールしたくなる気持ちになりますけど、まさにそういう映画。
アメリカでリリースされているDVDが画質最悪で、YouTubeに毛の生えた程度の映像が、しかもアスペクト比も狂ったままメニューさえなしにDVD-R(!)に収録されているという最低な代物なんですが、そんなことあっという間に忘れてしまうほど映画がチョー面白い。
これも『大いなる夜』と似たところのある作品で、父と息子の関係が物語の一つの軸になってます。
犯罪を繰り返す青年を拾ってきた精神分析家が警察に突き出す代わりに彼の治療を試みるといった感じの話で、これだけ聞くとまるでトリュフォーみたいですが、その拾ってきた青年というのがダーク・ボガード。
一筋縄じゃ行かない訳です。
実際、彼はその家のメイドとか果ては奥さんにまでこっそりと手を伸ばし、次第に自分の実質的な支配下に置こうとする。
この辺りの展開が、殆ど『召使』そのもの!
当たり前に存在すると誰もが前提している社会的な上下関係が、いつの間にかなし崩しにされ、ひっくり返されてしまう過程を描くロージーのサスペンス溢れるタッチは、いつもながら本当に見事です。
プロトタイプ版『召使』と言って良いでしょう。
しかも、この作品の場合、それだけでは終わらない。
青年の心の中を表現していると思われていた『眠れる虎』というタイトルが、実は別人のそれであったということがラスト近くになっていきなり明かされていく仕掛けになっていて、いやあ、すごいすごい。
すっごい面白い。
ロージーだなあ…って展開ですけど、いろいろ変化球に手を出す前の、低予算で素直にストレートに自分の一番の速球だけを投げてる彼の姿がそこにはあって、やっぱ、この人すごいわ!
赤狩りを逃れイギリスに亡命したロージーが匿名で撮った作品で、当時大スターだったダーク・ボガードを個人的に口説き落として実現へとこぎ着けた映画でもあります。
その後、彼らは『召使』『唇からナイフ』『できごと』といった映画史に残るコンビ作を作っていくことになるわけですが、その最初の作品がこの『眠れる虎』であった訳ですし、ブラックリストのため監督廃業寸前まで追い込まれていたロージーの人生を救った作品ともなりました。
いや、新作映画なんて見なくて良いです(笑)。

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