映画日記110731

eternal_love『山の王者』(29) エルンスト・ルビッチ

シネマヴェーラ上映後のTwitterでの盛り上がりが激しく羨ましかったので(笑)、ずいぶん久しぶりにDVDで再見。

この完璧感はなんだろう!ジョン・バリモアが深酒して理性を抑えきれなくてついに…って場面とか、その心の揺らぎにぴったり寄り添うかのように、あまりに見事にカメラが動き、揺れ、止まり、距離をあけ、その表情を大写しにする。

すべての演技も場所も光もその撮り方も、あれ以外考えられないものばかり。恋人の結婚式を窓からのぞき見るヒロインの、その窓枠の雪の積もり方まで完璧なんだよなあ。でも、CGで作った完璧さとは訳が違う。見ている私たちに与える心の震えが違いますよね。うーん、もうため息しか出ない。

onehourwithyou『君とひととき』(32) エルンスト・ルビッチ

豪華ルビッチ2本立てですよ!ちょっと曰く付きの作品。はじめルビッチ監修、ジョージ・キューカー監督としてスタートした企画ですが、途中から実質的にルビッチが現場を仕切り、公開されたバージョンでは彼が監督としてクレジットされた。

裁判にもなったそうで、結局、キューカーは補佐としてクレジットされることになりました。しかし、作品自体にはそういうゴタゴタの影は微塵もなし。結婚と浮気、事実と夢、現実と映画、ホントと嘘を自在に使い分ける、結構シニカルな大人の物語。ルビッチによるプレコード時代最後のミュージカル!

『山の王者』と続けて見ると、ああいう完璧感には実は欠けた部分があって、それは同録によるちょっとした声の調子のブレや動きの制約であったり、間合いであったり、それらに基づく微妙な画面と映像による緊密さの不足であったりするのですが、しかし、そうした呼吸をむしろ「だらしなさの魅力」であったり「観客との共犯関係」へと魔法のように変えてしまうルビッチのしたたかさ!

観客に語りかけるシュヴァリエばかりでなく、映画全体が常に私たちに目配せを送りつつ、次の瞬間、サラッと夢の世界のカーテンを開いてみせる。大人だよなあ。素敵だ。

curling『カーリング』(2010) ドゥニ・コテ

雪深い田舎で孤独に暮らす父と娘。その日常が淡々と映し出される中、やがて、彼女が一人の友人も持たず学校にも行かないことや、過去の惨劇の断片が少しずつ明らかになっていく…って感じ。

昨年のロカルノ映画祭で最優秀監督賞と俳優賞を受賞してます。ドゥニ・コテは、ロカルノはじめ、カンヌ映画祭監督週間など各国映画祭の常連で、いろんな賞を取りまくり。これは彼の5作目の長編です。

…ってことで、ものすごく面白くなりそうな映画なんだけど、なんだろう、今ひとつなんだよなあ。オープンエンドなのはいいとして、この手のは静かな日常の淡々とした描写の中にどれだけ殺気を漂わせるかが命だと思うんですけど、その辺りがどうにも弱い。

こちらの日常感覚がいつの間にか揺らぎ始めるような、そういう時間と空間の微妙に歪んだ扱いが欲しいところで、それにはやっぱ、映画におけるベタもネタも知り抜いた上で、敢えてその中間を漂い続ける強靱さが必要なんだと思う。

他の作品も見てみたいところですが、これはちょっと高度なものを狙いすぎたんじゃないだろうか。あんまりこういうことはしないんですが、なんか点数付けたくなる作品で、それで言うと、10点満点の6点くらい。ただし、悪い映画ってんじゃなくて、ザンネンな映画。

試写日記:『ピラニア3D』アレクサンドル・アジャ

コング。
…は、ともあれ、ジョーズ大オマージュ大会でした。

試写日記:『サンクタム』アリスター・グリアソン

ジェームズ・キャメロン印の3Dは、やっぱ他とひと味違うね。撮り方が上手い。
物語的にも親子のドラマをきっちり撮ってあって、かなり面白いです。
夏のアドベンチャームービーとしてとてもよろしいのではないかと。

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