映画日記110808

cold_weather1『コールド・ウェザー』(2010) アーロン・カッツ
Cold Weather

日本では全然紹介されませんが、アメリカのゼロ年代インディー映画を席巻したマンブルコア派と呼ばれる連中の中でも代表的な作家の一人アーロン・カッツの新作です。向こうではかなり評判でした。

最近のサンダンス作品の傾向を想起すれば大体感じ掴めると思いますが、引きこもりだったりニートだったり弱気だったり受け身だったり草食系だったりするボンクラ主人公の半径数百メートルの世界を、ボソボソとした彼らの会話と共にリアルな日常として描写するのがこの辺りの作家の特徴。

まあ、日本の自主映画の世界とも大差ないかとは思います。とは言え、カッツの新作は、その小さな世界から一歩先に進もうとしていて、そこがとても好印象。と言うか、非常にクレバーな作品ですね。なかなかやるもんだ。身近でこういうの撮ってる人いたら全力で応援するのにな。

簡単に言うと、ダメな僕たちの淡々としたポップな日常と、シネマやシャーロック・ホームズ、物語的想像力、アンダーワールド、その他何とそれを呼んでも良いけど、ま、要するに非日常的で心ときめく物語的世界との間にどうやって折り合いを付けるか、それ自体をテーマとした作品なんです。

cold_weather2あそこまで行っちゃわない『魂を救え!』だと言っても良い。今時の世界で魂を救うのはホント大変なんだよ。ないし、シネマを今の世界に召喚するのは死ぬほど難しい。その困難から目を逸らしちゃいけないって、こういう映画見るとあらためて思いますね。立派に闘ってます。偉い!

公開される映画にバリエーションがなくなると、真っ先にこういうのが入ってこなくなるでしょ。こういうの作られてること知らないと、世界の同時代で若い映画作家が何考えて何を試みてるか分からなくなる。結果、スタートラインは同じでも時代からどんどん置いて行かれる。

貧すれば鈍するってのは残念ながら大抵ホントなんですが、それでもそこで闘うすべを見つけて行かなくちゃいけないよね。ま、映画会社とかビデオ会社のしかるべき人に働きかけることも続けなくちゃいけないけど、でも、少なくとも努力すれば情報は個人でも入手できるし。

『コールド・ウェザー』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=jji4NM_c0vU&hd=1

rundskop1『ブルヘッド』(2011) ミシェル・ロスカム
Rundskop

これは面白い!映画的に新しいことはやってませんが、ソリッドな「男の映画」としてかなり良くできてます。監督はこれが長編処女作みたいですが、かなりの実力。クリスチャン・ベイルとかが肉体改造してハリウッドですぐにでもリメイクされそう。

ベルギー・フラマン語共同体の畜産マフィアというかホルモンマフィアが舞台の犯罪ドラマですが、それはいわば口実のようなもので、メインは、少年時代にある不幸な出来事を経験したせいで人生の中で一度もチャンスに恵まれなかった野獣のような男の悲しい純愛物語。

超ヘビー級のハードで肉体派のショッキングな映画、と言うと、まあ、そういう触れ込みの作品ってしばしばあったりするものですけど、これは正真正銘そんな感じ。これだけガツンとやって、映画的にもタイトにまとめてくると、それはやっぱ面白いものになりますよ。良い映画です。オススメ。

日本でも映画祭とかで上映されるとかなり話題になりそう。で、翌年公開とか。いや、もしかすると、もうどっかが買ってるかもしれませんね。こういう普通にすごく面白い作品は、ほっといても普通にちゃんと公開して欲しいです。

『ブルヘッド』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=qrIyAQaBd-Y&hd=1

cold_weather

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