CATWOMAN1974

kynodontas『ドッグトゥース』(2009) Giorgos Lanthimos
Kynodontas

つ、つまらない。かなり期待して見ただけに、このガックリ感は半端ないです。途中でやめようと何度も思いましたが、我慢して最後まで見たので終わり方だけちょっと面白かったけど、そこまで耐える理由は思いつかない。

カンヌである視点賞取ったりアカデミー外国語映画賞にノミネートされた作品で、一部でかなり評判になってたんですが、ま、わたしにはどうでもいい映画でしたね。

高い壁に囲まれた人里離れた一軒家に暮らす家族の物語。そこでは、狂気に近い両親の過保護と教育のもと、子供達が「健やかに」成長していた。ある日、外部の女性に持ち込まれたビデオを見てしまった長女は外部世界への憧れを強く持つようになり…って話。

タイトルの「ドッグトゥース」はもちろん犬歯って意味で、それが抜けたときに大人になって外の世界に行くことが出来るという両親の教えを表しています。

閉ざされた小世界の中の奇妙な集団をミニマルなスタイルで描いたタイプの作品ですね。こういうの、正直、既視感バリバリ。もう、ミニマルってやめようよ。つまんないんだから。よっぽど自信ある人か信念ある人じゃなきゃって気がする。

レス・イズ・モアにするためには、そのレスをどれだけ磨き上げ凝集させるかが重要なのであって、ま、ドライヤーとかブレッソンとかストローブに学べ!というのは、やはり抜かしちゃいけない部分だと思う。スタイルだけの映画のミニマルなんて、単にレス・イズ・ポアです。

こういう傾向って、近年の流れとしては例えばウェス・アンダーソンなんかの存在が大きいのかもしれませんが、あれが面白いのは、ミニマルに整えようとするスタイルを破って常に何か過剰なものが画面を埋め尽くそうとするからであって、その上げ下げのダイナミクスこそ本領なんだと思う。

ウェス・アンダーソンからその映画的ダイナミクスを抜き取ったのが、個人的には『トイレット』あたりのアートフィルムだと思っていて、そこにセックスと暴力を少々加えてハネケ化したのが、この『ドッグトゥース』というマッピングですね。

Submarine-Film-Poster『サブマリン』(2010) リチャード・アイヨアデ
Submarine

それなりに恵まれた家庭で何不自由なく育ち、頭もセンスも悪くないけど、自分なりに思春期の壁にぶち当たったり、両親や彼女との間の行き違いに悩んでみたりする、ひねくれた可愛げのない無愛想な少年を描いたいかにもイギリスっぽい作品。

映画や音楽、文学などへのリファレンスをたっぷり詰め込み、『アメリ』風の早口で饒舌で自己分析過多なストレンジ・テイストで撮られた、イギリスのシニカルなスクール・ボーイ青春物語と言えば良いでしょうか。面白いと思います。公開されたら日本でもかなりヒットしそう。

この手の映画期待してる人にはとても満足な出来映えでしょう。ウケるはず。個人的には、ちょっとPVっぽく流し過ぎが気になるのと、後半あたり何か一つ映画的な冒険などあればさらにポイント上がったとは思います。やや収まり良すぎ。とは言え、悪い作品では全くありません。

メルヴィルの『サムライ』とかドライヤー『裁かるるジャンヌ』、トリュフォー『大人は判ってくれない』、ゴダール、エリック・ロメールなどなど、いろんな映画が引用されたり言及されたりしてます。

だから良いってわけではなく、いかにもそういう文化的教養でパンパンになった、ワイルドにもアメリカンにもなれない中流家庭の育ちの良い男の子が、でもそれなりの人生の悩みや壁はあるんだ!ってささやかな主張くらいさせてよって作品で、いやあ、そういうのすごく共感できるなあ(笑)。

監督のリチャード・アイヨアデは、イギリスのコメディアン兼PV監督として有名で、映画はこれがデビュー作。次作はドストエフスキーの『二重人格』をジェシー・アイゼンバーグ主演で撮るらしくて、それはなかなか面白そうな企画だ。

『サブマリン』予告編 http://www.youtube.com/watch?v=P-WCCdkVDr4&hd=1

PDVD_1451『赤い夜』(74) ジョルジュ・フランジュ
Nuits rouges

スッゲー面白い!テンプル騎士団の秘宝を巡り、「顔のない男」に率いられた盗賊団、頼りにならない主人公、警察、詩人探偵、イルマ・ヴェップみたいな女怪盗、マッドサイエンティストとゾンビ軍団、そしてついにはテンプル騎士団自身が入り乱れて争う!!

劇場公開作としては、フランジュの遺作になるのではないでしょうか。『ジュデックス』同様、ルイ・フイヤードとその連続活劇への直接的なオマージュ作品。フイヤードの孫であるジャック・シャンプルーが脚本を担当すると共に「顔のない男」を演じています。

いや、正直、キャラクター紹介が一通り済むまで最初の30分はどうしようかと思ったんですよ。つまんなくて(笑)。展開トロいし下らないし、まあ、馬鹿馬鹿しいこと敢えてやってます的な作りではあるのですが、だからといって正当化されるわけでもないし、とか思ってました。

ところが、中盤辺りから本格的に見せ場の連続で、いやあ、ムッチャクチャ面白い!もうこうなると連続活劇フォーマットの本領発揮!とにかく話のつじつまなんて関係なくひたすらクライマックスが連続するし、警察や主人公、詩人探偵(なんじゃそりゃ!)の馬鹿顔もキュートに見えてくる。

PDVD_1468あ、詩人探偵ですが、滑舌悪い芸人の諸見里大介(ハム)にそっくりです。話し方も似てる。

ああ、これを撮りたかったのね!ってシーンばかり後半はてんこ盛りで、その頃にはこの映画のチャチさもバカバカしさもすっかり受け入れ済み。後はただただ感動するだけ。ズルいや(笑)とも思いつつ、いや、さすがフランジュ!活劇の魅力に満ちあふれたチョー面白い作品になってます。

警察署長がゲルト・フレーベだったり、何もしない主人公の何もしない彼女がジョゼフィン・チャップリンだったり、豪華キャストも見所の一つなんですが、何と言っても女怪盗のゲイル・ハニカット!ああいう美人をひたすら美しく撮ることにかけて、フランジュの右に出る監督はそういないです。

イルマ・ヴェップまんまってシーンなんですけど、その女怪盗がパリの屋根伝って目的の家に忍び込み、待ち伏せてた警察と大捕物を繰り広げるってあたりとか最高でしたよ!すりガラス越しに中うかがうラバースーツの女怪盗とか、それ撮るためだけに映画作って良いに決まってるじゃん!

カラーなので、白黒のフランジュ特有の詩情みたいなものはあまり感じられないようにも思います。フイヤード的な、現実と白昼夢が交錯するシュルレアリスムの世界とも違ったものになってる。

PDVD_1477とは言え、「顔のない男」の真っ赤なマスクを始め色彩設計にもかなり凝ってますし、キワモノ感とかB級感を敢えて楽しむシニシズムとは無縁の確固たる映画的世界をフランジュは構築しているように見えます。このフォーマットで、そのままTVシリーズも作られたらしく、そちらも是非見たい!

なんにせよ、メチャ面白い映画ですよ!最初の30分だけ、ちょっと準備運動必要だけど(笑)、その後はもうヘブン状態!70年代のパリを舞台にした連続活劇、最高です!

試写日記:『さすらいの女神たち』マチュー・アマルリック

面白かった。…と言うか、しんどかった!自分ではこういう人生歩んでませんが、とにかく痛くて辛くて見てるの苦痛だった。とくに、昔なじみの友達に頭下げに行って、でもついつい毒舌吐いてしまったりする辺りとか。ヘビーだ。

試写日記:『カウボーイ&エイリアン』ジョン・ファブロー

いろんな要素がてんこ盛りですね。

nuits_rouges

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