映画日記110823

460737.1020.A『無法の王者ジェシイ・ジェイムス』(57) ニコラス・レイ
The True Story of Jesse James

久しぶりの再見ですが、やっぱ素晴らしい!ノースフィールド銀行襲撃を冒頭とラスト近くに据え、その間を回想で埋めていく形式ですが、アクション映画として本当に面白い。全編急転直下で息つく暇もない。

レイの西部劇としては、『大砂塵』という異様な雰囲気を持つ傑作がありますが、こちらはあそこまで作家性を前面に出してない。以前見たとき、ジェシーが結婚式の夜に北軍支援派の隣人から闇討ちされる場面がすごく印象的だったのを覚えてますが、見直してみると割とあっさり処理されてた。

ジェイムズ兄弟のコスチューム変遷を追った物語としても見ることができて、だからこそ、彼が上半身裸にされる2つの場面(リンチ、農場焼き討ち)が印象に残ったのだと思います。全体的にはバジェットの大きいアクション映画をカッチリ作ることに集中してる印象で、そしてそれに成功してる。

a-the-true-story-of-jesse-james-TRUE_JESSE_JAMES-13ロバート・ワグナー演じるジェシーは、カリスマ性はあるもののかなり神経質でアブナイ若者として描かれていて、この辺はいかにもレイ好みで良い感じですね。『ジェシー・ジェームズの暗殺』のブラッド・ピットも、こういう作品ならもっと印象に残ったことでしょう(映画史にも)。

ジェシーがボブ・フォードに後ろから撃たれた後、集まってきた見物人が家の家具をあれこれ盗んでいくのって、『地獄への道』にもありましたっけ?ああいう「庶民の醜さ」とかをさりげなく描く視線って、映画に幅と奥行きを与えますよね。面白かった。西部劇はやっぱいいです。

Morrer-Como-Um-Homem『男として死ぬ』(2009) ジョアン・ペドロ・ロドリゲス
Morrer Como Um Homem

傑作!驚きました。あまりに素晴らしい!間違いなく今年のベストの一本!ちょっと食わず嫌いして見るの後回しにしてきた自分が愚かでしたよ。本当に面白い!必見!必見!必見!

実は、クイアでデカダンでアンニュイな映像派のヨーロッパ映画って苦手で、と言うか、積極的に嫌いなので、この作品もそういう一本だと思って避けてたんですよ。まあ、確かにザックリ分けるとそういう風に見られて不思議ではない映画なんですが、いや、違いますね。

To-Die-Like-a-Man_magnum想像以上にずっとアメリカンでした。70年代くらいのアメリカ映画と言えばいいか。あの時期、ヨーロッパ映画の影響受けて、たとえばアルドリッチでさえ『ハッスル』みたいな作品撮ってましたが、あのあたりの疲労と侘びしさと場末感を100倍にも1000倍にもした感じと言えば良いでしょうか。

って、それじゃヨーロッパ映画じゃん!って思われるかもしれませんが、それが違うんです。物語への対し方の強さがアメリカ映画的だと言えば良いか、観客を信じてしっかりした土台の上に築かれた映画だと言えば良いか。すごくスタイリッシュな作品なんですが、それが同時に感情にあふれてる。

物語としては、長くショウの花形だった中年のドラッグクイーンが、ジャンキーの若い恋人に苦労させられたり、ホモフォビアな息子との関係に悩んだり、若手の台頭に苛立ったり、自らの体を蝕む病と闘ったりしつつ、やがてショウを離れる決心をするが…、という感じ。

to-die-like-a-man-215135l-imagineま、正直ありきたりな話なんですが、それをこういう風に語るか!という新鮮な驚きが全編にあふれながら、同時にそれが本格的な悲劇として痛切な感情に貫かれている、という。こんな映画なかなか見ることができません。胸が締め付けられます。しかも、奇跡的なショットでいっぱい!

長回しとか、ゆるやかなドリーとかパンとか、全部ちょうどいい、まさにかくあるべき!過度に審美的にならず、スタイルのためのスタイルにならず、退屈なショットが一つもない。物語的に重要な場面では、そこで鳥が横切るか!って心底驚きました。偶然でしょうが、傑作にはそういう瞬間絶対あるもの。

映画後半の幻想的な夜の散歩場面とか、ちょっとジャン・ルノワールですか!とか、思わず口にしそうになっちゃったし、病室を訪ねてくる黒人のダンサーが、ああ、そこでマスクするか!原節子か!(笑)という。超面白い場面が目白押し。

そうそう。あれですね。ポルトガルのゲイは、やっぱクリスティアーノ・ロナウド大好きなんですね(笑)。それはともあれ、『男として死ぬ』、本当に素晴らしい作品です。絶対に必見!泣きます!男性のアレがアレなので、日本公開難しいかな~?やって欲しいな!

ジョアン・ペドロ・ロドリゲス監督インタビュー。ミュージカルとメロドラマが大好きな自分が同時にスタンダードサイズを選択する理由、そして現実に根ざしながら超越性をフィルムにもたらせたいことなど、興味深い発言が満載です。
http://www.youtube.com/watch?v=04uy008OEQ8
背後には『汚名』のポスターが!『男として死ぬ』では『恋人のいる時間』のポスターが貼られてました。シネフィルでスペクタクルな映画を好きな人間が、低予算でしかありえない現代映画を撮るための一つの闘争手段がここにはある。感性的に見える作品ですが監督本人が実に知的なのも印象的。

Morrer_Como_Um_Homem_01

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.

コメントをどうぞ

XHTML: You can use these tags: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>