最も才能豊かな新世代映画作家!

PDVD_163『オデット』(2005) ジョアン・ペドロ・ロドリゲス
Odete

すごい!すごすぎる!言葉失いそう!世界中のシネフィルが驚喜し、世界中の映画作家が心の底から嫉妬で悶絶すべき作品!明晰な思考の果てに辿り着いた本物の狂気を宿した大傑作!

一瞬で世界をつかむ黒沢清の映像の力、そしてデプレシャンの人物探求とその映画的呼吸、アルモドバルのセンスとソクーロフのアヴァンギャルディズム、さらにドワイヨンの粘着とスコリモフスキーの凝視、ベロッキオのスペクタクルを加えた最良のアメリカ映画、それこそこの『オデット』という作品!

いや、普段は映画で狂気とか言うの嫌いなんですよ。そんなの、普通に計算された演出だし。ただ、ここにあるのは、間違いなくその計算をひたすら研ぎ澄ました先にある、本当の意味で特別な何か。それを狂気と呼ぶか映画の魂と呼ぶかは自由ですが、とにかく名状しがたい何かがまさにこの作品にはある。

PDVD_226冒頭は割と普通なんです。ルイは、ゲイの恋人ペドロを事故で失う。一方、恋人に去られたオデットは、偶然ペドロと同じアパートに住んでいた。彼の葬儀に出席したオデットは、遺体にすがりつくルイの姿を目撃し…という始まり方。

アメリカのラブコメとかメロドラマにありがちな物語で、これ、『ファントム』に続くJPRの2作目ですが、ちょっと外したかなとは一瞬思いました。ところが、まさかあんな展開になるとは!いや、分かると言えば分かるんです。分かるんだけど、それでもあっけにとられて言葉を失う。

テーマとしては、だからもちろん「死」。死とは喪失であり、欠如であり、空虚であり、埋められるべき空間であり、それは絶望を喚起し、妄想を内部に充填させる。そして、ペニスを持つ動物と子宮を持つ動物の違いが、その死を巡って際立てられていく。

とりわけ、デプレシャンの『キングス&クイーン』、そして黒沢清の『降霊』との類縁関係には驚くべきものがある。ただ、正直ここまでこのテーマを突き詰めるとは!容赦ないというか徹底しているというか冷徹というか、しかもそれが同時に愛にあふれたものにもなるという、この、映画だけが持つ奇跡!

PDVD_178それと、これはたぶん所謂ゲイ特有の視点ということになるのかもしれませんが、主人公オデットという女性の描き方がすさまじい。女性特有の嫌らしさとか生理みたいなものを冷徹に抉り出しつつ、しかし映画自体はその生理に一切染まらないので、結果として映画もオデットも愛に満ちるという。

都会に降る雨と都会で吹く風の映画だという言い方もできるでしょう。しかも、きわめて多様な雨と風をそこでは見ることができる。映画のような雨が降ったと思えば、外からスクリーンの中まで自然に吹き込んできたかのような風も吹く。それら両者が当たり前の顔で共存している。

ちょっと、これだけの才能にはなかなか出会えない!間違いなく、ジョアン・ペドロ・ロドリゲスは、これから世界で評価されるべき最も才能にあふれた映画監督の一人だと自信を持って言えます。長編は、今のところ『ファントム』『オデット』『男として死ぬ』の3本で全て。後は短編と記録映画。

新作が心の底から待ち遠しい!いや、それ以前にジョアン・ペドロ・ロドリゲスを日本で上映しないと。みなさん、興奮しません?スコリモフスキーや黒沢清、デプレシャンにも匹敵する未知の新人監督の登場ですよ!いや、見てないから興奮できないでしょうけど(笑)。見たら絶対分かるって!

odete

追記:
発見!ジョアン・ペドロ・ロドリゲスの短編『チャイナ、チャイナ』予告編!ほら、こういう(面もある)奴じゃん!絶対そうだと思ってた(笑)。見た~い!
http://www.youtube.com/watch?v=ZWwJwqNJUeQ

「ガーディアン」のために作られた、ジョアン・ペドロ・ロドリゲスが案内する「我が街、リスボン」。
http://www.youtube.com/watch?v=-0gkamwv-Fk

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