bioshock inifinite

bioshock inifiniteクリア。
ネタバレ回避して抽象的に書くと、西欧の原罪意識が根源的なテーマで、そこから生まれる贖罪という制度が派生させる偽りの可能性を精緻なパズルないし荘厳な空中都市として豪奢に構築した後、それら全てを地に落とす仕組み。面白かった。

もちろん映画でも文学でも美術でもこうした試みというのは過去あった訳ですが、緻密なパズルないし空中都市の構築に必要とされる作業量や熱量の総体から言って、今ではゲームというメディアがそれにチャレンジするに相応しい時代になったのかもしれません。

西欧の原罪意識と構築というテーマについては色々思うところが勿論あるわけですが、これも抽象的に書くと、パズルの緻密さや整合性を論じ合っても意味はないと思うし、あるいは空中都市の飛ばない世界を逃走し続けることに可能性があるとも思えない。むしろ逆だと思う。

ではどうするかというと難しいわけですが、これはやはり別の設問の中で考えるべき問題かな。同じ言葉を比喩的に使ってあれこれ考えてみましたが、何かやっぱり上手くいかない。単純に、別の言葉、別の問題、別の思考とそれらに必要とされる時間の中で考えたい。

でも、Bioshockシリーズは、Irrationalの前身Looking Glassが作ったSystem Shockの頃から一貫したテーマの元に作品作りを続けていて、確かにビッグバジェットによって個性を失った部分も大きいですが、いやいやまだまだ大したものだと思います。

そうそう。Bioshock Infiniteは、「西欧の原罪」と「自己言及し瓦解する巨大な構築物」をテーマとしつつ同時に自らそうあろうとする作品で、そのために様々な先行作品への言及や目配せが作品の一部になっていて、その重要な一つがBeach BoysのSMILEでした。

いわば「呪われた作品」の系譜に属しているわけで、実際、Bioshock Infiniteもかなり制作が難航しましたし、アメリカの内省と自己批判とドラッグカルチャーを通奏低音とした作品が家庭用ゲーム機向けに発売され大きな売り上げを記録したというのは結構すごい事態。

Bioshock Infiniteに出てくる空中都市はアメリカのある種の理想を先鋭化させたファナティック宗教国家なんだけど、そこで突然歌われたゴスペルの一つがBeach BoysのGod Only Knowsだったんですよ。

ポップカルチャーがつねにすごいわけではないけど、拡散し拡大しつつ同時にそのオリジンを問い直そうとするアメリカのある種のポップカルチャーの狂気じみた創作力はすさまじくて、それは映画にも音楽にも小説にもあったけど、今はゲームでもそうしたものが生まれつつあるって話。

Bioshock Infiniteでは、アメリカの理想が行き着く先と、それに抵抗する暴力がもたらす崩壊を共に暗いビジョンで描いていましたが、これって作者のケン・レヴィンも関わった名作System Shock2と同じ構造でもある。

System Shock2は、日本で発売されなかったのが本当に残念ですが、エリート独裁主義とそれに対する民衆の抵抗やパワーがもたらす結果を共に地獄絵図として描くという相当な問題作で(笑)、つまり20世紀という時代の思考を閉ざされた宇宙船の中で再現する構成になってた。

で、その閉ざされた宇宙船という実験環境から解き放たれて、一気にアメリカの理想そのものを体現させた空中都市とその文化・精神・思想・記憶・宗教をすべて作り上げようとしたのが今回のBioshock Infiniteになるわけです。

こういう作品って、日本だとたとえば平行世界の整合性とかばかり話題になっちゃうかもしれないんだけど、やっぱ自らの国の歴史と記憶の全てを再点検しつつそれを現在に再照射しようとする野心とその実現に必要な巨大な熱量の総体を見て欲しい。今の日本だと、その全てがあり得ないって事も。

エリート独裁主義とそれに対する民衆のパワーを共に暗いビジョンの中で理念的に再検討するって、今の日本でも完璧にリアルな話じゃん。

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