『MUD』

『MUD』ジェフ・ニコルズ:多くの米若手インディペンデント作家と同様、ニコルズもまた風景の喪失、神話の失墜、つながりの崩壊を描いているが、それらをアメリカ映画の原初的力の源泉である風景の力として刻印する反転した眼差しにこそ本領を発揮する。

言うならば、風景を再発見・再創造する力強い眼差しの内部においてこそ、その崩壊と欠落を見守る試み。現代のアーカンソーを舞台にしたまさに現代映画であると同時に、神話的アメリカ映画の風景、あるいはまるで西部劇の葛藤とダイナミズムがスクリーンに横溢しているかのよう。素晴らしい!

『ショットガン・ストーリーズ』『テイク・シェルター』そして『MUD』と、ジェフ・ニコルズは一貫したテーマと風景をスクリーンに刻印し続けている。雰囲気に流されない映画のサブスタンスがそこにはある。今、もっとも特集上映が望まれる若手アメリカ映画作家だと言うべき。

『MUD』は、とりわけ『ムーンフリート』との強い参照の元に見られるべき作品。映画史に根ざし、アメリカ映画に根ざし、出身地アーカンソーに根ざし、そしてその現在と変容と喪失を正確に見据えている。子供たちの眼差しの中、疲れ切った大人たちの関係が永遠のファンタジーへと変容する!

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.

コメントをどうぞ

XHTML: You can use these tags: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>