『コンピューター・チェス』

105a1712daa778872dc550b7f52ed1de『コンピューター・チェス』アンドリュー・ブジャルスキ

傑作ではないですが、きわめて野心的な作品。とりわけ自主映画撮ってる若い人は絶対見なきゃ駄目でしょ。誰もが直面してる現在的な映画の困難に真っ直ぐ向き合いながら、全く違った方法でその先へと向かおうとしている。

パーソナルコンピューター黎明期の1980年、それぞれ自作したチェス・プログラム同士を対戦させるカンファレンスの模様が描かれる。テッキーとかナードと呼ばれる人たちばかりが登場し、彼らが繰り広げる人間模様と奇妙な会話が全ての物語となる。

彼らはみんな大まじめにチェス対戦とテクノロジーの未来について語り合うのですが、現在との時代的・風俗的なギャップが奇妙なおかしさを醸成していく仕組みで、また全編、当時使われていた白黒ビデオカメラでそのまま撮影されている。

テクノロジーの時代である現代を、その最初期に戻って相対化しつつ、典型的に現代アメリカのインディペンデント映画の作風でそれを描くってスタイル。二重三重に捻ってあるので、同じことやってても奥行きと奇妙な倒錯がそこに生まれる。

しかも、相対化されたテクノロジーが主題となるのと同様に、相対化された手法としてのニュー・アメリカン・シネマ(メカスとかの意味で)までがスタイルとして採用されていく。現代映画を拡張しようとするこの意欲は高く評価されるべき。

アンドリュー・ブジャルスキは、マンブルコアのゴッドファーザーとも呼ばれる映画作家で、こないだの東京国際映画祭で『ドリンキング・バディーズ』見た人もいるでしょ?元々ああいうスタイルの人なんだけど、今作ではそこにとどまっていない。

現代映画が困難に直面してるのなんて、全世界的な共通認識だけど、でもどの国でも色んな方法で戦い、様々な方向へと自らの可能性を伸張させている。その試みとアイディアとバイタリティには素直に学ぶべき!同じことばっかやってんなよ、と!

あるいは、別の可能性が出てきてもいいじゃん!

すっごい低予算で、プロの俳優も出てこなくて、でも半径50mの映画を小粋に作って友達に見せて終わりたくなくて、昔の映画好きだけど現在作るのは無理だと知っていて、でもやっぱり現代という時代を背後から撃ちたくて、って、そんな映画作りたいと思うよね?

そういうこと実際やってる人がいるのよ!ほら、ここに!見なきゃ嘘でしょ?ほら、今すぐ見なさい!

『コンピューター・チェス』予告編 http://www.youtube.com/watch?v=NuGT_L13bQ8

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