『キープ・ザ・ライツ・オン』

keep_the_lights_on『キープ・ザ・ライツ・オン』アイラ・サックス

大傑作!本当に素晴らしい!既に今年の個人的ベストの1本。長い長い時間にわたる映画監督の主人公と弁護士の恋人というゲイカップルの腐れ縁を、厳しく静かに繊細に即物的に見つめた作品で、2012年カイエ・デュ・シネマ年間ベストにも選出された。

『ママと娼婦』やカサヴェテス作品などを想起させる部分もありますが、70年代風の甘美な自己愛とは無縁で、またデヴィッド・ゴードン・グリーン以降の2000年代米インディー作品の美徳を共有する部分もありますが、そのチェリーボーイ的ファンタジー(良い意味で言ってます)とも無縁。

男女間に介在しがちなロマンチシズムとは無縁に、しかしある種のロマンチックさは備えつつ、むしろ長い長い時間に壊れ疲弊し崩れていく何かを静かに見つめ続ける時間への感性において際だった作品だと言うべきでしょう。二人の間に流れるゆったりとしながら残酷な時間を見つめ続ける。

でも、それはたぶんユスターシュ的なものともカサヴェテス的なものともちょっと違う。

主人公二人が再び関係を取り戻そうとするバーの戸口での会話で、二人の背後にひたすら何台も何台も何台もタクシーが通り過ぎていくように、時間への繊細きわまりない感受性を貫きつつ、あたかも世界全体が演出されているかのように見えてくる。これこそ映画の奇跡と呼ぶべき瞬間だと思う。

現実に誠実であることが、しかし同時に映画のファンタジーをも生成させる。その可能性は、いまだ決して汲み尽くされてはいなかったと確信させられる。

かなり私小説的な作品で、有名スターも出ておらず、誰にとっても口当たりの良い恋愛映画ではなく、華やかさもないかも知れませんが、これは映画ファンは必見だと思います。本当に本当に素晴らしい映画!

『キープ・ザ・ライツ・オン』予告編 http://www.youtube.com/watch?v=i_RNbeCpMsM

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