『エイプ』

apeee『エイプ』ジョエル・ポトリカス:ポトリカスの処女長編であり、『コヨーテ』主演のジョシュア・バージと再び組んだ作品。続く『バザード』も同じくバージ主演で、アニマル・トリロジーと(たぶん冗談半分に)位置づけられてる。超超低予算故の疵もあるが、それ以上にその圧倒的なパワーがすごい!

ポトリカス&バージからは、カラックス&ドニ・ラヴァンやスコセッシ&デ・ニーロといった映画史上の名コンビをたやすく連想させられると思う。スコセッシからフェラーラへと続くアメリカン・インディペンデントのド本流を歩むと同時に現在のそれに対する暴力的なエイリアンでもある。

うんざりするほど退屈で肩すかしばかりの鬱屈した毎日を送るスタンダップ・コメディアンが少しずつ現在の資本主義世界が胎む暴力と狂気に犯されていくって作品で、『キング・オブ・コメディ』なんかすぐに思い出すし、ジャームッシュやクローネンバーグだったりもする。

ポトリカスは実際に一時ニューヨークでスタンダップ・コメディアンやってたらしく、その時感じた孤独と疎外感と退屈と怒りをたっぷり詰め込んだ作品になってる。「真実の映画だけを撮りたい」って彼は言ってる。同時にコミックやホラーのテイストもたっぷり。その壊れたバランス感が面白い。

週末に友人たちを集めて撮影し、お金が足りないときは家にあったビール缶を売ったりして撮影続けたらしい。で、友人の友人辿って映画見てもらう内にロカルノに呼ばれて2つの大きな賞と賞金を獲得し、それで作った第二作は先日のSXSWで大評判だったという、まさにエマージング・スター!

実際、私も彼の『コヨーテ』がメチャ良かったとTwitterに書いてた流れで友達になって、こうやって『エイプ』見せてもらっちゃった!超ラッキー!いやあ、すっごい時代になったよ!一方で私たちを隔てる壁は高く厚くなるばかりだけど、繋がるときにはこうやってあっさり繋がれたりする!

「顔のないシステムへの怒り」をポトリカスは様々なインタビューで口にしてるけど、そしてそれを前にすれば勿論孤独と疎外感ばかり私たちは感じちゃう訳だけど、でも、孤独なのは自分一人だけじゃないし、その繋がりは別に友人たちや日本国内だけにとどまる訳じゃないってことを忘れずにいたい。

『エイプ』や『バザード』が評判を呼んで世界中から買い手殺到したみたいなんだけど、ロカルノ後のインタビューでしばらくは世界中の映画祭サーキットに呼ばれて旅することを楽しみたいし、すぐに作品売るつもりはないってポトリカスは答えてる。だって、この瞬間を楽しみに生きてきた訳だからって。

いいなあ、そういうの。みんな、いや、みんなじゃなくて良いけど(笑)、インディーで映画撮ってる人とかこういう生き方目指そうよ!で、『バザード』の方はMCAが設立したオシロスコープが買ったようで、それも背景感じる本当にいい話だ!

『エイプ』予告編 https://www.youtube.com/watch?v=S3qd3kdVzKw

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