『ヴィクとフロ 熊に会う』

5cd93a04c7c25d518819546133a650b2三大映画祭週間でドゥニ・コテ『ヴィクとフロ 熊に会う』が上映されていて、既に見た方もいるかも知れませんが、これは本当に必見作なので見逃さないように!今年見るべき数少ない作品の一本です。映画の現在の息づかいとはどういうものか、この作品から学べるはず!

ドゥニ・コテは基本的にストーリー依存型の作家ではありませんが、これはかなり物語的面白さもある作品。あんまりネタバレなしに見て欲しいですが、最初の設定だけ言うと、刑務所から仮釈放された初老でレズビアンの女囚と、彼女のガールフレンド、保護観察官、その他の人々が登場します。

彼女たちの過去は仄めかされる程度で殆ど語られないのですが、『テルマ&ルイーズ』のような物語のオルタナティヴなその後といった想像を許す部分があります。激しく暴力的な物語の火が消えた後、その余熱の中で生きてる人々って感じ。

ものすごくスタイリッシュでオフビートなユーモアと皮肉が効いた作品に最初は見えますが、そのスカシた感じが次第に歪み亀裂が生じ変容していくところに最大の見所がある。ポスト北野武で、『湖の見知らぬ男』なんかとも同時代性を感じさせる部分があると私は思う。

ビジュアル的スタイルの完成度は本当に見事で、正面から撮られたストライプの家や壁の前で動物のように無表情な人々がアイスブルーの画面に収まってる感じと言えば良いでしょうか。コテの作家的刻印と言うか、こういうクリーンカットな見事さ、日本の若手作家にも是非見て欲しい!

ただ、そのクールで収まりの良い画面に実はミクロの差異や力の不均衡が既に存在していて、それは言ってみれば、遠くから見れば穏やかな森が近くで見ると激しい暴力と殺戮の場所でもあるって感じ。単にオフビートでスタイリッシュで、というのとは違った現代映画の面白さがそこにはあります。

ドゥニ・コテは、映画批評から監督に転身したケベックの映画作家で、デビュー以来9年間に8本の長編と2本の短編を撮ってます。しかも国際映画祭でいっぱい賞取ってて、なのに日本だと東京国際映画祭で『檻の中の楽園』ってドキュメンタリーが上映されたくらい。ありえない!

『ヴィクとフロ 熊に会う』、現在日本で上映中!是非見て! http://sandaifestival.jp/movie3.html

『ヴィクとフロ 熊に会う』予告編 https://www.youtube.com/watch?v=TmX11-CUeR8

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