『ブキャナン・ライズ・アローン』

buchanan_rides_alone夏休み映画特集第五弾。
今回もまた、バッド・ベティカー監督&ランドルフ・スコット主演のコンビによる作品です。
日本未公開作ですが、タイトルをそれっぽいピッとした言葉に訳しにくいので、カタカナ表記でお茶を濁そうかと。
原題は、なのでそのまま”Buchanan Rides Alone”ですね。
「ひとり馬を駆るブキャナン」くらいの意味でしょうか。
1958年の作品。

物語としては、故郷テキサスへと戻る道中、アグリーという名の街に立ち寄った主人公ブキャナンが、そこで一人のメキシコ人を助けようとしたことから、彼自身もまた街の住人によって縛り首にされそうになる、といった感じになっています。
これまでの2作とは違って、かなり軽いタッチの作品になってますね。
どんな状況にあっても余裕とユーモアを感じさせるランドルフ・スコットの佇まいもあって、印象としては、ほぼコメディに近いとさえ言えるかも知れません。

ただし、バッド・ベティカーがやっていることは、この作品でもまったく同じ。
きわめて執拗に同じフォーミュラを反復し、その可能性を探求し続けていると言って良いでしょう。
それはつまり、この作品もまた、やはり2をめぐる物語であると言うことです。
タイトル通り、一人で馬に乗って一つの街にやってきた主人公が、いかにして二人同時の縛り首という運命へ導かれていくかという物語や、あるいは、アグリー家の一族によって支配されているかに見えたそのアグリーという一つの街が、いかにしてジャッジとシェリフという二つの勢力によって分断されているかについての物語が、そこでは語られているのです。

あるいは、身代金をめぐって、小さな橋の両端で男たちが互いに牽制しながら対峙するまでのゲームのような合従連衡と反転と裏切りと駆け引きが、この作品の全ての形式を作り上げていると言っても良いでしょう。

そう。
1であるかに見えたものの内部に2という数字を見出し、しかもその2がさらには複数の2へと分裂していき、互いに役割をずらしたり組み替えたり反転したりする様を観察しながら、そのゲームのような戯れによって一本のフィルムを作り上げて見せること。
それこそが、この作品におけるベティカーの試みであったわけです。

また、花嫁強奪こそありませんが、同じように一人の人間をその運命から救い出すことが、物語を推進させるエンジンとして機能している点も同じです。

バッド・ベティカーとランドルフ・スコットという同じコンビの作品を続けて見ていると、それが低予算のB級映画だと言うこともあって、時代は全く逆ですが、個人的にはどうしても黒沢清監督&哀川翔主演による『勝手にしやがれ!!』シリーズを思い出してしまうところなのですが、それでいくと、この作品はおそらく『勝手にしやがれ!!黄金計画』のような位置づけになるのではないでしょうか。

とても面白い映画です。

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