TIFF09 2日目

朝起きて、マスコミ向け上映21日分のWEB予約。
その後、WOWOWでオーソン・ウェルズの『上海から来た女』。
ああ、朝から良いもの見れた。
最高っスな。
裁判所でのブラインド越しの斜めの光とか、もうあれ見てるだけでお腹いっぱい。

と言うのは、でも、いわゆる言い回しだけの問題であって、リアルに食事しないことには映画祭を乗り切ることができません。
なので、六本木に到着してお弁当を購入。
今日は、オムライスをチョイスしました。
ヒルズ2階の、ちょうど東京タワーを正面に見ることができる絶妙の場所でランチをいただく。

1本目。
アラン・ギロディの新作『キング・オブ・エスケープ』。

『勇者に休息なし』の頃からすると、だいぶ成長したんじゃないでしょうか。
良い感じです。
面白かった。

かつて冨永昌敬にインタビューしたときに話したことあるんですが、冨永監督とギロディって、なんか似ているところがあるように思っていて、と言うのは、一つにはその嘘くさい世界観、と言うか、あんた世の中なめてるのか、それとも単に人生経験ないのか、どっちよ、という現実との距離感にあって、と言うと、なんだか貶しているようにしか読めませんけど(笑)、そうじゃなく、その嘘くさい世界観が奇妙に映画全体の佇まいに影響を及ぼしていて、この人、うまく成長すればかなりのものを見せてくれるようになるんじゃないかとこちらに期待させてしまう部分にこそあるのです。

あと、短編作家が長編作りに苦しんでいる部分も似てるかな(笑)。

ただ、ギロディの新作は、そこで言うと、主演女優にアブデラティフ・ケシシュの『クスクス粒の秘密』にも出ていたアフシア・エルジを使っていて、その辺の作劇術を輸入したりというのもあるんでしょうね、短編で培った奇妙な場面作りのセンスをうまく長編の構造へと結びつけるようになってきました。
これは、だいぶアリかな。

続いて、ギレルモ・デル・トロがプロデュースしたという以外何も分からないコンペ作品『激情』。

正直、アヴァンタイトル部分を見たときには、途中で出た方が良いかとさえ思ったのですが、その後結構持ち直しました。
一回下がった分、逆になかなか悪くないなあとも。

『オペラ座の怪人』+『うつせみ』で、さらには+『召使』なのかなとも思わせつつ、そちらには行かなかったです。
ギレルモ・デル・トロよりは上で、キム・ギドクよりはずっと落ちるってあたりの評価でしょうか。
ネズミの扱いとか、ご主人様の娘の子供など、チラッとだけ出てくる脇役の見せ方に見るべきところあり。

3本目。
同じくコンペ作品の『ダークハウス』。

んーとね。
どうしようかなあ。
見ている間、こちらの気持ちがいろんな方向に転んだのですけど、それ、自分的にまとめると簡単で、要するにこれは(スタイルは全然違いますが)アンジェイ・ズラウスキーだってことなんですけど、ま、説明しないと分からないですよね(笑)。

つまり、この映画、いかにも映画的な風景と道具立ての中で、かなりアヴァンギャルドな試みが展開されてもいて、あやややや、これ、もしかしてすっごく面白くなりそう?面白い?うわー、楽しみだなあ、これからどうなるのかなあ?いや、あれ?うーん、ちょっと計算違いしてる?いや、ここでカット割っちゃダメでしょ?この場面は何で今見せられてるの?と言うか、このビデオの使い方はないよね?あれれ?でも面白くなりそうだし、あれ?あれ?…なんて考えている間に映画が終わってしまいました、という感じですかね、言ってみれば。

ま、でも、すごく高く評価する人もいると思います。
その意味で、映画祭向きの監督さんでしょうね。
一見の価値ありだとは思います。

4本目。
今日最後の作品は、エリア・スレイマンの最新作『時の彼方へ』。

面白いなあ。
『D.I.』よりさらに良いと思います。
と言うか、もうすっかり巨匠の貫禄ですね。
ただ安定していると言うだけではなく、世界の現在に開かれた不透明さまで併せ持っているという意味での巨匠ぶり、ということですが。

イスラエルに住むパレスチナ人である監督の家族の苦難の物語が、1948年のナクバから現在に至るまで断片的に語られているのですが、もちろんエリア・スレイマンなので、重い主題であるにも関わらず、あくまで軽やかに人を食った調子で展開されています。
笑えるし、泣けるし、映画のことも世界のことも家族のことも個人のことも政治のことも、いろいろ考えさせられてしまいました。

今回、とくに質の良い抒情が随所に顔を見せていて、このあたりのセンスの良さというか、教養が問われる部分というか、ああ、北野武はこうなれなかったのかなあとも思ったりしましたが、それはともかく、いや、この映画、本当にびっくりするほど泣けます。
素晴らしい作品でした。

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