[Lehrstucke 02]

まず、途中で書かなくなっちゃって以降の東京国際映画祭についてですが、あの後、一日に5本見た日があって、そのうち1本はそこそこ悪くなく、1本はとても面白かったのですが、残りの3本が死ぬほどくそつまらなくて、なんか映画が嫌いになっちゃったんです(笑)。

映画脳が冷めたというか。

そう。
11月のbuku TVでも喋ってますが、映画祭って映画脳になる場所なんです。
毎日、朝から晩まで一日に何本も映画見てるのに、うわー、映画大好き-、もっと見て-、っていう。

普段なら試写状来ても見に行かないような作品さえ、どこかに一つでも引っかかる部分があればそこから拡大解釈して、いや、ひょっとしたら面白いかもとかポジティヴにとらえ、そこで当然のごとく作品の出来映えに裏切られたとしても、いや、でも、ここは悪くなかったとか、こういう失敗をしてはいけないという反面教師になったとか、前向きにとらえつつ、さらに次の作品へと立ち向かっていく場所なんですよ。

でも、さすがに3本続けてどうしようもなく酷い出来映えの作品に当たっちゃうと、正直めげるというか、まあ、そんなもんだよなという現実に引き戻されちゃうというか。

なので、一日中朝から晩まで映画見て、日をまたいで帰宅して、晩ご飯食べて、お酒でも飲んで、その後さらに見た映画について何か書こうという気力まではなくなってしまいました。
あの後も映画祭通って、そのあとそのままパソコン熱の方になだれ込んじゃったし。
書く時間もなかった。

ちょっと悪くなかった映画についてだけ書いておくと、ジェイコブ・ティアニーの『少年トロツキー』って作品は、あきらかにウェス・アンダーソンの線を狙っていて、でも、そうした期待から映画見ていると、始まって5分で酷くガッカリさせられて、映画の「恐るべき子供」気取りにしても、いまどきポチョムキンはないよな、とかそんな程度でしかなく、ああ、こりゃ失敗したとか思ってぼんやりスクリーン見つめていると、そのうちいつの間にか結構映画に引き込まれてしまって、これは監督がどうと言うよりも、やはりアメリカ映画は偉大だな、と、ストーリーの力というのは素晴らしいものだ、と、そんな感じで、最後にはこの作品のことが結構好きになっていました。

ま、大したものではないけどね。
『リトル・ミス・サンシャイン』の路線で、あれより出来映えが劣るってくらいの評価。

あと、素晴らしかったので言うと、キアロスタミの『シーリーン』は、すごかったです。
いろんな意味で。
ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』とゴダールの『女と男のいる舗道』の間で、神話の単数性と複数性についての昆虫学的研究がそこでは繰り広げられていたと言うべきでしょうが、いや、にしても、この徹底ぶりとそれを具体的に作品化する力量にはすさまじいものがありました。
面白かった。

あ、なんか、映画祭について長くなっちゃったな。
この辺にしておきましょう。
あとは、忘れた。

さて、今月の3日に第一回が行われた早稲田の研究会ですが、正式名称が決まりました。
[Lehrstucke]です。
レールシュテュック。

[Lehrstucke]
「教育劇」と訳されることの多いドイツ語ですが、観客を教育・啓蒙するための劇という意味ではなく、そこで提起される世界・状況に自ら参加することによって、新たな発見を得るための手がかりとする場所全体のことを指します。
そこでは、思索と参与との境界、観客と演者との境界が打ち壊され、あらゆる者は演じつつ学び、分析しつつ行動することになるのです。
レールシュテュックには、旧来の意味での観客は存在しません。
歴史的には、1930年代にブレヒトが発表し、アイスラーなどが音楽をつけた一連の作品が、この名によって知られています。

第一回の[Lehrstucke]については、こちらに記事があります。
結構賑やかなイベントとなりました。
盛り上がったと思います。
http://blog.ecri.biz/?p=471
http://blog.ecri.biz/?p=474
http://blog.ecri.biz/?p=476

そして、第二回が次の日程で行われることになりました。

[Lehrstucke 02]
2009年10月31日(土)14:00~18:00
場所:早稲田学生会館

内容は、また私の方から小さな演し物が一つあったあと、二人の発表者によるイエジー・スコリモフスキーについての研究報告があります。
加えて、実行委員長である工藤君の方からも、スコリモフスキー初期作品についての何かがあるかもしれないみたいですが、これは当日のサプライズであるとのこと。
どうぞ、ご期待ください。

第一回終了後にも、何通かメールをいただいたりして、第二回も結構参加者が増えそうな気配。
前回も書きましたが、映画を愛し、映画について話すことに関心があり、広告でもブログでもない言説の場を築くことに興味を感じる全ての方々に参加していただきたいと願っています。

参加希望者は、quus2007★gmail.com(★をアットマークに変更)までメールしてください。
こちらから、詳細な案内を送らせていただきます。
どうぞ、よろしくお願いします。

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