アクロス・ザ・ユニバース

試写日記

ジュリー・テイモアが監督した『アクロス・ザ・ユニバース』。
ビートルズの曲だけを使ったオリジナルミュージカルという発想が素晴らしくて、もっのすごく期待して見に行ったのですけど、いや、まったく眠れなかった禿山の一夜を過ごした後で体調が優れなかったのも原因でしょうけど、いまいち乗れませんでした。

ああいうミュージカルの手癖をそのまま映画に持ち込んだような手法って、久々に見ましたけど、うーん、どうなんでしょう。
ケン・ラッセルみたい、とか、いやそうでもないか(笑)。

タイトルにもなっているビートルズの名曲中の名曲「アクロス・ザ・ユニバース」が流れる地下鉄のシーンとか、フィオナ・アップル版の影響も感じさせつつ、でも、正直あっちの方が…とか思ったりして。
歌詞に「Jai Guru De Va, Om」ってあるからって、あそこでグル出しちゃいけないんだよなあ、とも思いますし。

ちなみに、フィオナ・アップル版というのは、ビートルズの曲を彼女がカヴァーして歌っているバージョンで、ミュージッククリップの監督は、たぶんポール・トーマス・アンダーソン。
だから、まあ、良いのは当たり前なんですけど、あらためて見直してみても、やっぱり素晴らしく良い。
http://jp.youtube.com/watch?v=AZ5WPXxNzPU

主人公ジュード(って役名が、また、ややオチを予想させてしまいますけど(笑))を演じたジム・スタージェスって子が、何気ない表情で画面を支えることのできるタイプの役者さんで、歌も歌えるし、こういう人は映画で映えるなあと思いました。
何かというと、すぐ気合い入れて作った顔出してくる役者さんとか、スクリーンで見ててしんどい。

その親友マックスを演じたジョー・アンダーソンって子もなかなか良くて、とりわけ、オチに近い話になるのでボカシますけど、彼がフェンスに昇って主人公の名前を連呼する場面、というのは、ビートルズ知ってる人にはどういうことなのかすぐピンと来ると思いますけど(笑)、そう、あの場面なんてかなり良かったですね。

ああいうの、好きなんだ。

男同士って、あるいは、これはとりわけ日本人の男同士がそうなのだって話なんですけど、みんなシャイでお互いに照れがあって、久しぶりに会ったりしても、おお、とか、いやあ、とか、どうよ、とか、おまえら昨日も会ってたのかい(笑)みたいな会話しかしないものなんですけど、ある種の瞬間に、そうした壁が一気に崩れて、人と人との間の距離がグワーッて近くなるときがあったりするんですね。

たとえば、舞台に立って何か一緒にイベントとかやって、そこでは淡々と話しているだけだったりするんですが、舞台から降りて、何かお互い口には出さないけどすんごく上手く行ったという手応えを感じていたりして、そんなとき、ふっとお互いの目と目を見つめ合ったりして、普段だと絶対言わないことを言ったりやったりするんですけど、あれがね、もう、スペクタクルなんですよ(笑)。
背筋に電流が走るような衝撃というか、一つの人生のハイライトというか。

ああいう高揚感って、これはもう、経験したことのある人にしか絶対分からないと思いますが、もちろん舞台の上でのスペクタクルも素晴らしいんですけど、でも、実は人生ってそれだけじゃないんだよ、もっと深いものがその前後にあったりするんだよ、って意味も含めつつ、やはり、とても大事なものだと思います。

劇場型の高揚とは、また一つ違った高揚がそこにはあると言うべきか、とにかく、人と人とが目線を交わすということの中には、とても深い意味と、複雑な感情の交流と、そして圧倒的な事件が潜んでいたりもするのです。

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